人工知能伝習所

〜 AI x Big Data x IoTなトピックを、非エンジニアにも分かりやすくお届け 〜

秋の味覚と人工知能 (2):機械学習でトウモロコシを守り、食料危機から96億人を救え

今週のブログお題「秋の味覚」第二弾です。トウモロコシを含む世界中の農作物を病害虫から守るために、1日数十億件ものビッグデータと、機械学習に基づく予測が応用されていました。アメリカのコロラド州に拠点を置く、aWhere社のビジョンと取り組みをご紹介します。

Sweet Corn

AGRINEWSの記事によると、世界の農作物の収穫高の25%は病気と害虫によって無駄になっているそうです。経済的損失は膨大にもかかわらず、病気や害虫が蔓延する条件は未だよく分かっていません。これまでの研究は、病害虫が発生する最低条件にフォーカスしていただけなので、研究で得られた知見を個別の畑に持ち込んでも、その効果は限定的でした。

病害虫が発生する条件として考慮に入れるべき要因は、植えられている作物の品種、散布されている農薬の種類、農作業の回数など、様々です。しかし、これまでは畑の状態や周辺環境の違い、また、農作業の活動の違いによってもたらされる条件の違いは、ほとんど見過ごされてきていたわけです。

そこで、aWhere社では、世界の160万地点のセンサーから毎日数十億件のデータを収集し、ビッグデータ解析と機械学習を使って統計モデルを作成することで、いつ、どこで、病害虫が発生するかを予測する方法を研究開発しています。この手法により、現在、利用可能な他の手法よりも高い精度で、病害虫の発生を予測できるそうです。

例えば、トウモロコシの灰斑病は、米国では経済的に深刻なダメージを与えるおそれのある病気です。育成の初期にかかってしまうと、収穫量が50%以下になってしまいます。aWhere社は、米国のコーンベルト地帯で、彼らの統計モデルを使った予測を評価し、病気の発生を99.4%の精度で予測できることを実証しました。ただし、病気が発生すると予測したのに、発生しなかった誤検出(偽陽性)の割合も17%程度あったので、今後は誤検知を減らすことが課題です。

AGRINEWSの記事が面白かったので、改めてaWhere社について調べてみると、彼らのビジョンと事例がまた面白かった!


まず、ビジョンとして示される使命感がすごいです。2050年には、人類の人口は今より24億人増えて、96億人になりますよ、と。それまでには、34年あるわけですが、農業の立場からいうと「34シーズンしかない」んです。そんな「短期間」で、これから増える24億人分の食料を、世界の5.8億人の農業人口が余分に作り出さなければならないんです。この、気候変動による不確実性が増す一方の世界で。なんという絶望感でしょうか。しかし、それはaWhere社が持っている使命感の強さでもあります。

aWhere社は、地球全体をカバーする1日数十億件のデータから、作物の出来/不出来や病害虫の発生を予測し、早めに手を打つ事で目覚ましい成果をあげています。例えば、ウガンダの農家では、天候不順を予測し、種まきを15日間遅らせた結果、その年の収穫量は3倍になったそうです。また、リアルタイムな収穫タイミングを予測し、作業スケジュールを調整したことで、穀物の廃棄量を25%削減できました。さらに、病気の発生を予測して肥料の増加を提案した結果、病気を予防でき、800kg以上もの収穫量の増加を達成したそうです。

最後に、彼らのプロモーションビデオをのせておきます。機械学習技術が、食料不足から人類を救うことを祈って・・・
youtu.be


下記も読んどくと良いよ!
wired.jp