人工知能伝習所

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14歳天才少女、機械学習を武器に、ジカ熱の撲滅を目指し立ち上がる。

中南米から東南アジアに拡大を続けているジカ熱。昨日(9月12日)はついに、東京都内で初のジカ熱患者が確認されたそうです。幸い、蚊のシーズンは終わりつつあるので、厚生労働省も「今のところ国内で蚊を媒介して感染が広がるリスクは低い」としていますが、引き続き注意を呼びかけています。

asian tiger mosquito in action

ジカ熱は、妊婦が感染すると小頭症など胎児の脳に先天性障害が起きると言われています。今月7日には、WHOがジカ熱と小頭症との因果関係について踏み込んだ見解を出しています。また、今月12日には、米ワシントン大学などの研究チームが、サルへの感染実験を通じて、ジカ熱が胎児の脳に先天性障害が起こすことを発表しています。

リオ五輪後のパンデミックも懸念されているジカ熱ですが、その世界的脅威に対し、若干14歳の天才少女が立ち上がりました。少女の名前はSofiya Lysenkoさん。アメリカ合衆国ペンシルベニア州東部のアビントン市に住む中学生です。

Lysenkoさんは、小さいころからコンピュータサイエンスに興味を持ち、レゴやVEXロボット合宿、ペンシルバニア州ロボットコンテストに出るほどの腕前の持ち主。このたび、リケジョの中でも特にコンピュータサイエンス系女子の育成を目的としたProject CS Girlsに参加し、ジカ熱を撲滅するためのウィルス開発プロジェクトで見事4位に入賞しました。

彼女のプロジェクトは、プリンストン大学の学生をメンターとして、ゲル電気泳動データマイニングを使ってジカ熱ウィルスを開発するそうです。データマイニング部分では、Microsoft Azure Machine Learning Studioを使ってジカ熱ウィルスの変異を予測します。

ウィルスの変異の予測が、ワクチン開発にどのように役に立つのでしょうか?一般的に、ワクチンには病原性を弱めたり無毒化したウィルスが使われます。その際、流行中のウィルスが変異して、ワクチン作成に使われたウィルスとは異なる抗原性を獲得してしまうと、ワクチンの予防効果が弱まってしまいます。そのため、ウィルスの変異を先回りして予測し、それにあわせてワクチンを開発することが必要です。日本でも、インフルエンザウィルスの変異の予測は、ホットな研究トピックです(東大+AMED+JSTの研究京大+北海道大学+統計数理研究所の研究)。

実際、ジカ熱ウィルスは70年前にアフリカのウガンダのサルから分離されていますが、現在の南米のウイルスはその時点のウイルスから変異していると言われています。また、南米からアジアに拡大する過程での変異も発生しており、シンガポールで確認されたジカ熱ウィルスはアジア系統に属し、南米のものではない可能性が指摘されています。

現在のところ、ジカ熱に対して有効なワクチンや治療薬は存在していません。世界的にも開発中の段階で、ようやく北米で来年初めの実用化を目指した臨床試験が始まったばかりです。日本国内では、千葉県衛生研がジカ熱患者の血液からウィルスを取り出すことに成功しており、大阪大学でのワクチン開発に提供されています。また、武田薬品もワクチン開発に名乗りを上げています。

世界の研究機関の頭脳を相手にしたジカ熱ワクチン開発競争。そこに、クラウド機械学習のチカラを使って女子中学生が参入・協力できる。すごい時代になったものです。是非、Lysenkoさんの勇姿と解析中の画面もごらんになってください。