読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

人工知能伝習所

〜 AI x Big Data x IoTなトピックを、非エンジニアにも分かりやすくお届け 〜

小林 雅一著 「AIの衝撃」を読んで。AIが人間を超えるのが怖いのではない。AIを支配するグーグルに全日本企業が支配されることが怖いのだ。

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)

KDDI総研リサーチフェローの筆による、人工知能の輝かしい成果と、将来の懸念についての警鐘の書です。人工知能について、巷で話題になっているトピックが一通りおさえられており、無理のない話の展開で非常に読みやすかったです。

目次

はじめに

第1章 最新AIの驚異的実力と人類滅亡の危惧 
 -機械学習の光と陰―

第2章 脳科学とコンピュータの融合から何が生まれるのか 
 -AIの技術と歴史―

第3章 日本の全産業がグーグルに支配される日 
 -2045年「日本衰退」の危機-

第4章 人間の存在価値が問われる時代
 -将棋電王戦と「インダストリー4.0」ー

おわりに


第一章は、ディープラーニングやビックデータ、自動運転、画像認識をはじめとして最近のAI応用のニュース紹介と、ホーキング博士などのAI脅威論の紹介です。AI応用の話としては、ヘッジファンドの世界のニーダホッファ兄弟の話が面白かった。天才的な投資の手腕を持ちながら相場の暴落時に大敗を繰り返す兄と、AIをうまく活用して金融危機でも難を逃れ信用を築く弟という運命が対象的でした。


第二章は、AI技術とブームの歴史の振り返りです。線形回帰やロジスティック回帰、パーセプトロンなど、人工知能の要素技術と、人工知能の第一次、第二次ブームについておさらいします。また、統計・確率的アプローチへの一大転換とニューラルネットの復活、脳科学の発展等を経て、現在のブームと動向を解説しています。


第三章は、DARPAの災害救助ロボットなど新しいロボットの活用分野について触れ、家庭用サービスロボットがあらゆる情報を吸い上げる可能性について危機感を煽ります。この章は「日本の全産業がグーグルに支配される日」と、センセーショナルなタイトルになっており、著者の想いが強くにじみ出ています。


日本のロボット研究は、産業用ロボットやヒューマノイドに偏りすぎているが、次世代の家庭用サービスロボットは必ずしもロボットの姿をしていないといいます。グーグルをはじめとする欧米企業に、次世代ロボット用のAIをおさえられたら、日本企業はセンサー等の部品を下請けで作るしかなくなる、iPhoneでそういうことが起こっていたよね?と警告しています。そうならないためにも、日本ももっとディープラーニング等の先端AIの研究開発に力を入れるべき、と説いています。

第四章では、人間を超えていく人工知能として、将棋電王戦の話とインダストリー4.0で変わる匠の技、コンピュータが生み出す芸術等の世界に触れます。その上で、これまでも蒸気機関やコンピュータのように、「人間は人間よりも優れたものを作り出してきた」わけだから、人類が人工知能に追い越されたとしてもまあ幸せなんじゃね?という結論に落ち着いています。


本書全体を通して、自分自身も学びながらも「人工知能に携わる人をもっと増やしていかなければ」という想いを強くしました。子供たちにプログラミングを教育する動きが活発になってきていますが、それに加えて統計学機械学習の基礎を理解している人材は今後ますます必要になってくるでしょう。これまでは一部の研究者やエンジニアだけのものだった人工知能の技術を、非エンジニアの人も理解し、自分の道具として使っていけるようになるといい。本ブログのタイトル「人工知能伝習所」はそんな想いで始まっています。今後はもっと入門的なコンテンツを増やしていきたいと思っています。


今後ともどうぞよろしくお願いします。